【2023】インサイドセールスとは? 概要、メリット、体制づくりのポイントなどを解説。まだ遅くない、これからインサイドセールスをはじめたい方へ。
1. インサイドセールスの概要
1-1.インサイドセールスの基本概念
インサイドセールスは内勤型営業とも言われ、顧客との関係性をプロセス毎に明確化し、
エンゲージメントを高めていく営業手法です。電話やWeb技術を活用して、
企業が顧客との関係を丁寧に醸成しながら、課題を解決するために製品やサービスを
提案していきます。コロナ禍においてさらに非対面型の営業活動が推進され、
日本でも一気にインサイドセールスの手法を導入する企業が増えました。
よく比較されるフィールドセールスは顧客との対面接触を重んじる訪問を中心とした
営業活動になります。
インサイドセールス部門がマーケティング活動で得たリードを精査し、フィールドセールスへ
確度の高い見込み客をバトンタッチするパターンやオンラインでクローズドまで担当する
パターンなど企業の状況により、可変に対応できるところもインサイドセールスの特徴の一つです。
1-2.インサイドセールスの背景
インサイドセールスは技術の発展やビジネスを取り巻く環境の変化により、
形態を進化させながら現在に至ります。その発展の過程を時系列で説明します。
1970〜1980年代初頭
インサイドセールスの起源は諸説ありますが、そのルーツはいち早くアメリカで発展した、
テレマーケティングとして知られる営業手法に垣間見られます。
この頃は電話でリアルタイムに顧客とコミュニケーションをとり、販売プロセスの
効率化をはかることが主でした。
1980〜2000年代
この時代、テクノロジーの進歩により、インサイドセールスの手法も進化していきます。
パソコンやインターネットの爆発的な普及から電子メールやweb会議システムなどの
ツールの活用を通じ、場所と時間の制約から開放されて、いつでも遠隔地の顧客と
密接に連携することが可能となりました。
2000年代〜現在
2000年代以降、インサイドセールスの重要性は年々増していき、営業手法としての
戦略的地位を確立していきます。
インターネットサービスの普及やSNSを代表とするソーシャルメディアの台頭も
後押しになりました。
近年インサイドセールスの役割はさらに拡大し、インバウンドマーケティングの思想の元、
顧客満足度の向上を一義に、カスタマーサクセスの一役も担っています。
1-3.インサイドセールスが広まった3つのきっかけ
1. 対応顧客の増加とコストの削減
従来の対面型のフィールドセールスに比してインサイドセールスは費用対効果に優れ、
効率的であることが分かりました。
非対面で顧客と連絡を取り、ビデオ会議や電話などで商談を進めることで、
1日に接点を持てる顧客数が拡大に増えることに加えて、経費の削減に繋がることが、
普及の一助になりました。
2. 技術の進歩と市場の拡大
インターネット技術の進歩で時間・場所などの制約から解放されて、Web会議、
電子メール、チャットなどのツールの活用でいつでもリモートでの
ビジネスコミュニケーションが可能となりました。こうした背景から
その特徴が活かせるインサイドセールスに注目が集まります。
3. 顧客の購買行動の変化
顧客の購買動向の変化もインサイドセールスが普及したきっかけになります。
商品・サービスの情報に対して、顧客自らが調べ、SNSなども活用し、
本当にその商品・サービスが必要なものかどうかを判断する傾向が強くなりました。
その際、顧客が非接触で情報収集を済ませるようになり、企業側も非接触で
接点を持つことが必要になりました。
その中でデジタルマーケティングとインバウンドセールス(SDR)の手法が、
購買動向とマッチするようになり、顧客に支持される要因になったのです。
2. インサイドセールスの6つの利点
2-1. 営業効率の良いアプローチができる
インサイドセールスの体制や役割には様々あるのですが、例えば分業型の
インサイドセールスでは、マーケティングで取得したリードに対して
インサイドセールスチームがそのリードを精緻化、ナーチャリング活動を通じて
リードを育成し、確度の高い有望リードを営業チームに渡すことで、
成約率を格段に上げることが可能です。
また、訪問型営業に比べて、非対面で時間・場所を問わず、1日に多くの顧客と
会話ができ、移動時間を削除できる点も効率の良いアプローチです。
2-2. 費用対効果に優れている
顧客対面型のフィールドセールスでは、成約確度が不明な中で、
遠隔地に赴くこともあるため、交通費や宿泊費などの経費がかさむ傾向にありました。
インサイドセールスで成約確度が高い顧客と毎回商談ができれば、費用対効果の改善に
繋がります。
2-3. 採用間口の幅が広がる
訪問営業と違いインサイドセールスは、場所や時間、顧客との接触頻度などの制限を
大きく解放しました。リモートで顧客と効果的にやりとりを交わすことで、
限られた営業時間を最大限に活用することができます。それにより、時間や場所に
捉われない働き方も可能となり、時間の制約や訪問が難しい方への採用条件を
広げることに繋がりました。
さらに採用が難しい営業職の人手を確保できるという採用側のメリットも生まれました。
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2-4. 迅速なサポートが可能になる
インサイドセールスではデジタルツールを駆使して、リアルタイムのデータ収集と
分析が行えます。
そのため、顧客側も問題や課題解決に適したより確度の高いパーソナイズされた情報を
受けとることができるようになります。
さらにリモート環境の充実でタイムリーなコミュニケーションのやり取りから、
いつでも問い合わせや要望に対して迅速にフィードバックを受けることも可能となりました。
2-5. 顧客満足度の向上
今までオフライン活動で得られていた、氏名、企業名、電話番号、メルアド、営業活動の履歴、
商談数や契約内容などの情報にプラスして、Web技術の進歩でオンライン活動でも
視覚化できる情報が増えました。
自社で用意したサイトへの訪問履歴、クリック数、動画などのコンテンツの視聴履歴、
メールシステムでは開封履歴や開封率、リンククリックされた内容、
モバイル端末ではSMSの開封状況、アプリの閲覧情報などが確認できるようになりました。
それぞれの顧客のステージに併せてナーチャリング活動を行うことで顧客が求める本当に
必要な情報を提供することができ、顧客満足度が向上します。
2-6. 事業持続化の耐性UP
インサイドセールスは有事の際、事業を維持することに有用です。
災害や緊急事態などの発生時に迅速に対応を立て直すことが可能です。
オフィスの出勤や外出が制限されている状況でもリモートシステムの活用で、
顧客に連絡を取り、業務を継続することができます。
3. インサイドセールスを導入する上での8つのポイント
3-1. インサイドセールスのステージ設計
インサイドセールスの仕組みを導入するにあたっては、まず自社内に合わせた
設計にすることが大切です。
分業型、独立型で、それぞれのインサイドセールスの担う役割が違います。
下図は独立型のインサイドセールスの設計の形になります。
(Tsumugu Worksのフロー引用)
インサイドセールスが
①リードの獲得
②リードの評価・育成
③商談の獲得
④契約交渉・締結
⑤カスタマーサクセス
までカバーしており、さらに非対面で完結させています。
自社の目的に応じて、②リードの評価・育成 ③商談の獲得まで行い、
フィールドセールス部門へバトンを渡す設計や、
②、③に加えて⑤のカスタマーサクセスをフォローするインサイドセールスの
設計もあります。
大切なのはインサイドセールスという概念がマーケティング、インサイドセールス、
フィールドセールス、カスタマーサクセスなどの各工程に浸透しており、
全体最適を目指す点にあります。
3-2. チームコミュニケーション
内勤や在宅で働くことの多いインサイドセールスチームにとってコミュニケーションは
とても大事な要素です。
定期的にチームミーティングや情報共有の場を設けて問題や課題の認識の擦り合わせを
行える体制を構築します。
また、分業型のインサイドセールスでは各部門との連携を常に強固にしていくことが
大切です。こうしたコミュニケーションを円滑に行うためにコラボレーションツールなど
を使い、情報の透明性を高め、協調性を高めていきましょう。
3-3. 担当者のスキル育成
インサイドセールスの担当者に対して継続的に改善や学習し続ける文化を
醸成していくことは大事です。
定期的な振り返りや反省を通じて常に学び続けていく組織づくりを目指します。
スキルトレーニングでは、電話やメールなどのコミュニケーションに必要な
ヒアリング能力、説明能力などのスキルを身につけるために研修やOJTを行います。
また、上長や同僚のフィードバックを受けることも成長につながります。
自分では気づかない強みや弱みを理解し、改善することができます。
さらに、インサイドセールスを担当する人の苦労を分かち合ったり、
インセンティブを導入することでモチベーションを維持し、
最適なパフォーマンスを発揮することができます。
3-4. ツールの活用
インサイドセールスをシステム化するにあたってツールの導入は欠かせません。
架電ツール、サイト分析ツール、顧客管理ツール、営業管理ツールなど
各フェーズにおいて様々なツールがあります。
大規模なMAツールやSFAツールなどもありますが、費用が大きくかかることも
想定されます。
目的と予算に応じて適切なツールの導入を行いましょう。
3-5. データ分析
ツールが活用できる体制が整ったら、データ収集と分析を行います。
リアルタイムに集まるデータを担当者は顧客の行動やニーズの追跡に用います。
戦略を立て、施作の効果を評価しながら営業の効率性と成果を向上させることができます。
また、これらのパーソナライズされた情報を元に効果的に顧客とエンゲージメントを
高めていきます。
3-6. リードの質の担保
獲得したリードに対して質の高低を分類し、リードの評価・育成を通じて有効商談の精度を
高めていくことが大切です。
その中でリードナーチャリングとリードクオリフィケーションを解説していきます。
リードナーチャリングはリードの購買意欲を高め、受注・商談へと繋げるための活動です。
リードナーチャリングの方法としてはメルマガの配信、ホワイトペーパーの提供、
セミナーやイベントへの招待などがあります。
リードクオリフィケーションはリードが自社の製品やサービスに興味があり、
購入する可能性が高いかどうかを判断するプロセスです。
リードクオリフィケーションを行うことで、無駄な営業活動を減らし、効率的に商談を
獲得することができます。
3-7. 顧客との良好な関係維持
インサイドセールスでは顧客と長期的に良好な関係を維持する必要があります。
各フェーズにおいて定期的なコミュニケーションを通じ、顧客のニーズや課題をつかみ、
適切なタイミングで、サポートやアドバイスをしていくことが大切です。
カスタマーサクセスの考え方をベースにカスタマーサポートやQ&Aシステム、
様々な不安面に応えられる体制づくりは顧客との良好な関係を維持することに
不可欠な要素になります。
3-8. 成果の可視化と評価
インサイドセールスにおいて適切に成果を可視化したり、評価したりすることが大事です。
成果は様々ありますので、自社に適したKPIを設定しましょう。
※KPIとはKey Performance Indicator/重要業績評価指標のことで、
KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標のこと。)に至るための中間目標指標のことです。
4. インサイドセールス 導入の留意点
インサイドセールスを導入するにあたり下記の留意点を意識することで、
より効果的に運用を実施することができます。
4-1. 適切なターゲットの特定
インサイドセールスを運用するにあたり、ターゲットを特定する上で事前にターゲット分析すること
を心がけましょう。分析手法は様々ありますが、いくつかご紹介します。
顧客セグメンテーション
顧客を特定のグループに分ける方法です。
人口統計(デモグラフィック):年齢、性別、収入、職業、宗教、言語、人種、家族構成など
地理(ジオグラフィック):国、地域、天候、人口密度、発展度、地形など
心理(サイコグラフィック):ライフスタイル、価値観、ニーズ、興味関心、政治信条など
行動(ビヘイヴィオラル):購買頻度、購買数、製品に対する期待値、価格に対する考え、商品知識など
マーケットリサーチ
ネットリサーチ、業界レポート、ソーシャルメディアなどの情報を収集し、活用しましょう。
併せて競合他社の分析も行うことで自社の競争優位性の活かし方を見つけることも重要です。
既存顧客のデータベース
既存顧客のネットワークや関連企業、アップセルやクロスセルの機会があるターゲット層を発掘します。
展示会・イベント・カンファレンスなどへの参加
インサイドセールス関連のイベントなどに参加することで、ターゲットの関心層を知ることができます。
また、業界のキーパーソンや意思決定者との出会いの場としても機能します。
パートナーシップとの提携
共同の目標を達成するためにアライアンスを結び、互いのリソースや専門知識を共有し、
新たなターゲットを獲得していきます。
4-2. 継続的なスキルトレーニング
インサイドセールスは、電話やメールなど、非対面での営業活動が中心となるため、
コミュニケーションスキルが特に重要です。
また、見込み客のニーズを理解し、それに応じた提案を行うことができる問題解決能力、
課題発見能力も必要です。
さらにインサイドセールスはチームで活動するためチームワーク能力も重要です。
上記のスキルを身につけるために
・自社の製品やサービスの説明方法
・見込み客のニーズを把握する方法
・効果的な提案方法
・チームで協力して目標を達成する方法
などを継続的に学ぶ必要があります。
4-3. 組織全体のサポート体制
インサイドセールスはマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、
各フェーズの連携が欠かせません。
マネージャーやリーダーが指導やアドバイスを積極的におこない、問題解決のサポート、
リソースや各種ツールの提供を行います。
またチームメンバーが困難な状況に直面した場合には組織が迅速に対応し、
適切なサポートを提供することが大切です。
組織全体で連携意識を高め、インサイドセールスの文化づくりを醸成していきましょう。
4-4. リードの再活用
インサイドセールスの大きなポイントとして、リードの再活用ということがあげられます。
新規リードが商談まで結びつき、成約に至ることが大きな目標の一つですが、
リードの全てが商談に結びついたり成約に至ることはないと思います。
そのため、一度商談まで辿り着いたけど成約に至らなかったリード、商談前のやり取りで
止まってしまったリード、失注に至ったリードなどを新たにインサイドセールスの
プロセスに戻すリサイクル活動が重要です。
4-5. 担当者のモチベーションの維持
インサイドセールス担当者はともすると孤独に陥りやすい側面があります。
担当者のケア、モチベーションの維持を保つために、定期的なコミュニケーションを軸に
リモートワーク環境の調整や柔軟な働き方の提供、業績に応じた報酬体系の設定など、
働く環境やインセンティブ制度の最適化を検討しましょう。
5. まとめ
以上、ここまでインサイドセールスの概要、利点、導入のポイントなどを見てきました。
自社の業種・業態、規模、ターゲット、状況などに応じて適切にインサイドセールスを
取り入れて行きましょう。
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